1972年の東京湾


見上げると
空にかすかにかかる雲と
眠そうな汚染雲

見下ろすと
ゴミと下水にまみれた
冷たい海水の満ち干

右手には
幾何学形のコンクリートと松が
規則正しく列をなす

左手には
ドライバーが吹かしたタバコの吸い殻
エンジンがガソリンの念仏を唱える

豊かな漁場であった所は
いつしか
巨大なゴミタメと化し

製鉄所は
腹ぺこの工場に鉄を供給し
ホープTMは尻から
まっすぐな煙をあげる。